「特定技能」2019年度から5年間の最大受け入れ見込み数は、宿泊業は2万2000人、主な業務内容はフロント、企画・広報、接客、レストランサービス です。

(引用:日本経済新聞2018年12月14日)

ホテル旅館で就労を希望する場合、多くは「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を検討しますが、法務省入国管理局が公表しているホテル・旅館における在留資格の不許可事例にもあるように、レストランでの配膳、荷物の運搬、客室清掃に従事する業務は、該当性が無く不許可と判断されます。(以下参照)

≪不許可事例≫
① 本国で経済学を専攻して大学を卒業した者が,本邦のホテルに採用されるとして申請があったが,従事する予定の業務に係る詳細な資料の提出を求めたところ,主たる業務が宿泊客の荷物の運搬及び客室の清掃業務であり,「技術・人文知識・国際業務」に該当する業務に従事するものとは認められず不許可となったもの

② 本国で日本語学を専攻して大学を卒業した者が,本邦の旅館において,外国人宿泊客の通訳業務を行うとして申請があったが,当該旅館の外国人宿泊客の大半が使用する言語は申請人の母国語と異なっており,申請人が母国語を用いて行う業務に十分な業務量があるとは認められないことから不許可となったもの

③ 本邦で商学を専攻して大学を卒業した者が,新規に設立された本邦のホテルに採用されるとして申請があったが, 従事しようとする業務の内容が,駐車誘導,レストランにおける料理の配膳・片付けであったことから,「技術・人文知識・国際業務」に該当する業務に従事するものとは認められず不許可となったもの

④ 本邦で法学を専攻して大学を卒業した者が,本邦の旅館との契約に基づき月額約15万円の報酬を受けて,フロントでの外国語を用いた予約対応や外国人宿泊客の館内案内等の業務を行うとして申請があったが,申請人と同時期に採用され,同種の業務を行う日本人従業員の報酬が月額約20万円であることが判明し,額が異なることについて合理的な理由も認められなかったことから,報酬について日本人が従事する場合と同等額以上と認められず不許可となったもの

⑤ 本邦の専門学校において服飾デザイン学科を卒業し,専門士の称号を付与された者が,本邦の旅館との契約に基づき,フロントでの受付業務を行うとして申請があったが,専門学校における専攻科目と従事しようとする業務との間に関連性が認められないことから不許可となったもの

⑥ 本邦の専門学校においてホテルサービスやビジネス実務等を専攻し,専門士の称号を付与された者が,本邦のホテルとの契約に基づき,フロント業務を行うとして申請があったが,提出された資料から採用後最初の2年間は実務研修として専らレストランでの配膳や客室の清掃に従事する予定であることが判明したところ,これらの「技術・人文知識・国際業務」の在留資格には該当しない業務が在留期間の大半を占めることとなるため不許可となったもの

(引用:『ホテル・旅館等において外国人が就労する場合の在留資格の明確化について』平成27年12月 法務省入国管理局)

「特定技能」でフロント、コンシェルジュ、ゲストリレーション、レストランが認められれば相互の異動も可能となります。「接客」業務がどこまでの範囲を認めるかは不明ですが、宴会サービス等の配膳行為やベル、ドアマンも「接客」の枠内なら業務範囲は広がります。

「客室清掃」が接客の範囲内と認めれる可能性は低いと考えますが、新設される「ビルクリーニング(建物内の清掃)」で、ホテル内の客室清掃も適用されるか否かが注目です。

注意しなければならないのは従業員への報酬額です。技能実習制度でも低賃金が問題となっていますが「特定技能」でも ”日本人と同等もしくは同等以上の報酬” とされるはずですから賃金規定に基づいて公平に報酬を支払わなければなりません。

その他、旅館営業許可を取得していることや風俗営業関連施設(ラブホテル)は認めないことが決まっているようです。

現行の「技術・人文知識・国際業務」は学歴や実務経験が要件となりますが、「特定技能」では、技能試験と日本語能力で判断されます。日本語能力判定テスト(仮称)の合格かN4を取得していれば新テストが免除されるようです。

外食では調理、接客、店舗管理をあげた。宿泊はフロントでの受け付けや接客、レストランでのサービスなどだ。業種によっては受け入れ機関に対し、所管する省がつくる協議会への参加や協力を求める。各種業法や規制で認証を受けた事業所に限定する分野もある。建設業では受け入れ人数枠の設定や、報酬などを記した計画の認可を条件にした。宿泊業では旅館・ホテル営業の許可が必要で、風俗営業関連の施設は認めない。

「特定技能」の取得には、省庁が定める業種別の技能試験と、当面アジア8カ国で実施予定の共通の日本語能力判定テスト(仮称)への合格が必要になる。現行の「日本語能力試験」で基礎的な会話が理解できる「N4」以上なら新テストを免除する。介護は介護専門の日本語評価試験も実施する。

(引用:日本経済新聞平成30年12月14日)