私はホテル勤務経験を経て行政書士になりましたので、宿泊業界における外国人材の活用には大変興味があります。私なりに宿泊業での外国人雇用について考えてみたいと思います。
先日も観光経済新聞社が雇用状況調査として河口湖温泉旅館協同組合に加入されている旅館の事業者に「外国人労働者に関するヒアリング会」を実施した記事が掲載されていました。
事業者の皆様は、人手不足に陥り外国人材で補いたいと考えた時に「この人を雇って大丈夫ですか?」と聞きたいと思うことはございませんか?知り合いの紹介だったり、人柄が気に入り採用通知を出すことがあると思います。
日本人なら、先ずは面接の際に、このヒトは接客業に向いているか、スキルや素質があるか、即戦力になるか等……を見極めることになると思います。大学の観光学科やホテル専門学校で学問的に学んで入社する方もいますが、多くは現場での経験や研修等でスキルを磨きます。臨機応変の対応能力が求められ業務も多岐に渡ります。
しかし外国人が日本で働く場合、該当する在留資格を取得している必要があります。人的素質よりも、このヒトは「日本で働ける在留資格を持っているか」「何の業務ならできるのか」等の法的要件を満たしているかを確認しなければなりません。
ホテル旅館は一般的な会社と異なり24時間営業です。一日の中で「忙しい時間」と「そうでない時間」が存在します。忙しい時間帯は、宿泊・レストラン・宴会場等の現場ごとによって異なります。効率よく複数の現場を掛け持ちして欲しいと考えますが、できる仕事(業務内容)が制限されている在留資格も存在します。これらの要因が複雑に重なり、より分かりずらくなっていると考えられます。
どのような人材が必要なのか、正社員なのか一時的(短時間や短期間)に働いてくれるパートアルバイト等なのか、マンパワーとしての人手が足りないのかそれとも人材をまとめるリーダーが足りないのか?
求める人材によってアプローチが異なりますので、先ずは在留資格別に確認をします。
パートやアルバイト等の短時間や短期間で働いてくれる人を求めている場合(赤字が在留資格の名前)
大学・専門学校・日本語学校に通う留学生(留学):資格外活動許可を取得すれば、風俗営業等を除き週28時間(教育機関が学則で定める長期休業期間は1日8時間)以内で業務内容に関係なく働けます。
日本で働く外国人や留学生の家族(家族滞在):資格外活動許可を取得すれば、風俗営業等を除き週28時間以内で業務内容に関係なく働けます。
ワーキングホリデー(特定活動):風俗営業又は風俗関連営業が含まれる営業所等を除き業務内容や労働時間に制限なく(法令範囲内)で働けます。
留学生で学校(日本語学校を除く)を卒業しており継続就労活動若しくは内定後就職までの在留(特定活動):資格外活動許可を受けていれば風俗営業等を除き週28時間以内で働けます。
難民申請をしている人(特定活動):就労可否は指示書に書かれています。風俗営業又は風俗関連営業が含まれる営業所では働けません。
海外の大学生が単位取得の学業を目的として取得するインターンシップ(特定活動):1年を超えない期間でかつ通算して大学の修業年限の2分の1を超えない期間内です。学業等の一環として報酬を受けて実習を行うことになりますが、海外の大学での専攻している学部等とインターンシップ先での業務内容に関連性が必要とされています。
※インターンシップ制度:日本の留学生は「資格外活動許可」を取得、海外の大学生で無報酬かつ90日以内の滞在は「短期滞在」、無報酬かつ90日を超える滞在は「文化活動」です。
※特定活動:詳細は、必ず指示書で確認してください。