平成28年12月20日(水)

新宿区役所にて『新宿区民泊問題対応検討会(第3回)』が開催。わたくしも傍聴してきました。

15日の日経新聞に、新宿区が有識者や住民、不動産団体、警察・消防らが参加した検討会を開催している旨の記事が掲載されていましたので、
傍聴する人も増えているかと思いきや、そうでもなく大半は関係者の様子。

新宿区の検討会を傍聴している理由は2つあります。

一つ目は、昨年の夏頃から当事務所にも民泊に関する問い合わせが増え始め、民泊を身近な問題として取り組んできたこと。
行政書士の立場で『法的根拠や行政との関わり合い』の視点に、元ホテルマンとしての経験からわかる『おもてなしや宿泊ビジネス』の視点を重ね合わせることで、
『民泊に関する解決策』が見いだせるのではないかという思い。

二つ目は、行政書士としての好奇心からくる使命感です。行政書士とは、行政(国や自治体)と街の皆様(時には個人、時には法人)をつなぐ架け橋のような仕事です。

『官民一体となって。。。』という言葉を耳にすることがありますが、今年は特にそのような場面に何度も遭遇しました。しかし、現実問題としてそう上手くはいきません。

世の中に『民泊』という新しいニーズが生れ、国(政府)が議論を開始、制度(法律や省令・政令)をつくる。地方自治体(都道府県や市区町村)が地元に即したルール(条例や規則)をつくる。
あくまでも、『官』は、制度設計をしてルールを作り、後は監視する体制を整えるだけです。

時には、お金(補助金)を用意してくれます。ばらまきと批判されるかもしれませんが、不要な事業に予算を割り当てるくらいなら歓迎される民泊施設に補助金を割り当てて欲しいですね!

そして『民』が、決められたルールに則って事業を展開していく。その際に、迅速に、効率よく『官』と『民』をつなぎ、合法的なやり方で事業参入のお手伝いをする。それが私の使命だと思ってます。違法民泊の行為を、信号無視程度の軽い気持ちでやっておられる方が大多数だと思いますが、それは本当の怖さを知らないからです。

もし、自分の民泊施設で、自殺、違法風俗営業、感染症等の病人、火災が発生したらどうしますか? 明日は我が身。それよりも近隣住民や関係者に多大な迷惑をかけてしまうのです。

新宿区の検討会議は、厚労省が行なってきた「民泊サービスに関するあり方検討会」とは違い、より現実的な議論です。

東京都でも23区と市町村では抱える問題がまったく異なります。23区の中でも当事務所がある千代田区と新宿区では異なります。

もはや『うちの区では、民泊を全面禁止する』というのは難しく、このような選択肢はありえないでしょう。
行政側には、どうすればこの問題を解決できるかを真摯に検討していただくしかないと考えます。

民泊新法では、『まだ権限の分担(恐らく地方自治体への権限の分担という意味)のところが決まっていない』という発言がありましたが、
政府の法律や都道府県の条例など、一律にルールを決めただけでは上手くいかないと思います。
例えば、新宿区のように上乗せ条例(規則)が必要な地域もあれば、
観光客を招致したいと願う地域では、最適なルール作りが必要不可欠である。
時には、権限の大部分を地方治自体に付与した方が上手くいくのではないかという気もします。

ローカルルールが増えすぎ複雑化した際には、行政書士がお役に立てると思います。
新宿は、Airbnbの利用者も多く、違法民泊の無法地帯化しています。新宿区が先頭に立ち、都市型民泊ルールのモデルケース構築に期待したい。

都心から少し離れた地域では、訪日外国人の招致に力を入れているところもあります。

それぞれの事情を踏まえた運営ができるような環境づくりを切望致します。